不妊治療の種類と病院選び~人口・体外受精など~

不妊治療の種類は何がある?

不妊治療を行う人が増え続けています。高齢出産にどんなリスクがあるかわかっていても、どうしても妊活を始めるのがそのタイミングになってしまう・・・というケースが多くなってきているのです。

 

データでもその現状は浮き彫りになっていて、厚生労働省の発表によると国内の体外受精実施数は増加し続けており、2010年には24万件を超えています。その結果、体外受精によって生まれる子どもも約3万人となっており、その年に生まれた子供の約40人に1人は体外受精ということになるのです。ちょうど、クラスに一人は体外受精によって生まれた子供がいるようなイメージになります。

 

当然ながら、不妊治療に対応している医療施設もどんどん増えており、2011年には約600施設が稼働しています。これは世界最多の数で、日本の約2倍の人口がいるアメリカですら約400施設なのですから、どれだけ日本が不妊大国なのかを垣間見ることができるでしょう。

 

ただ、悪いことばかりではありません。不妊治療をする人や施設が増えたことにより、不妊治療のハードルが下がっている、つまり気軽に来院できる人が増えているということがあります。今は結婚してからすぐに来院する人もでてきており、そのまま放置していると妊娠できなかったケースでも、不妊治療をすることによって妊娠・出産をすることができた、という事例が起きているのです。

 

不妊治療の種類

 

不妊治療といっても、さまざまな種類があります。最終的には医療施設に行って医師の診断を受けてから治療方法を選ぶことになりますが、事前に方法を知っておくことで準備にはなりますので、まずはどんな治療方法があるのかを知っておきましょう。

 

1,タイミング法

 

夫婦の年齢がまだそれほど高齢ではなく、お互いに問題点が見つからない場合は、手始めとしてタイミング法が取られることが多いです。排卵のタイミングをしっかりと調査し、そのタイミングに合わせて性行為をして妊娠をしようという方法です。普段からなんとなく排卵日を予想しているカップルは多いと思いますが、プロのアドバイスを受けながらより正確な排卵日を予想するという方法なので、多少妊娠率はアップします。

 

具体的には、超音波やホルモン検査によって、排卵日、さらには排卵の時間帯までも正確に予測します。卵子が受精できる時間帯は、排卵されてから10時間ほどしかないので、妊娠確率を上げるにはそのタイミングで性行為を行わなければいけません。単純にタイミングがズレ続けていたために妊娠できなかった夫婦の場合、この方法で妊娠できることが多いようです。自然な周期での妊娠が理想ですが、場合によっては排卵誘発剤を使用する場合もあります。

 

問題点としては、男性の性的興奮は非常にデリケートであるということがあります。セックスのタイミングが厳密に決められるため、男性側に抵抗がうまれ、うまく性行為ができないなどのケースが考えられるのです。お互いに話し合っておいて、しっかりと行為ができるかどうか準備しておくことが大切でしょう。

 

2,人工授精

 

男性から精子を採取し、排卵日に合わせて子宮に入れて妊娠しようとする方法です。実際には、排卵誘発剤を使って排卵をうながしてから人工授精を行うことが多いようです。注射器で精子を子宮の奥に挿入し、直接注入することで妊娠を目指します。日本の場合は、実施を夫婦の間だけに限定する医療施設がほとんどです。費用的には1回あたり2万円程度で、不妊治療としてはそれほど高額ではない部類と言えるでしょう。

 

3,体外授精

 

卵子と精子の両方を採取して体外に取りだし、シャーレの中で混ぜて、受精した卵子のみを子宮に戻す方法です。受精率を上げるために複数の卵子を採卵するので、排卵誘発剤を使用することがほとんどです。

 

体外受精によって妊娠・出産できる確率は病院や医師の技術度によって左右されるので、成功率はまちまちです。また、妊娠しても流産しやすいため、出産に成功する確率は20%ほどと言われています。費用も30万円以上かかるため、かなりの出費がかかると考えていいでしょう。

 

4,顕微授精

 

卵子と精子を体外に採取するのは体外受精と一緒ですが、顕微授精は顕微鏡下で直接卵子の細胞質内に精子を1つ注入させます。そして、発育した受精卵を子宮に戻します。

 

こちらは男性側の精子が少なかったり、動きが弱い場合に利用されることが多くなります。また、無精子症と診断されても、精巣内に精子がある場合は、取り出して卵子に注入することで妊娠が可能となるのです。

 

基本的には、体外受精では妊娠できない場合のさらに高度な方法となるので、その分体外受精よりもさらに高額となります。

 

5,卵子提供

 

女性の子宮は出産に適しているが、卵子ができない女性、もしくは高齢で卵子が妊娠に適さない女性などが、他の女性から卵子の提供をうけて体外受精する方法です。遺伝子的には母親が違うことになり、子どもの地位などをどう処理するかなどが課題になっています。

 

6,代理母

 

子宮がなかったり、子宮が妊娠に適さない、もしくは子宮を失ってしまった女性が、代理の女性に子供を産んでもらう方法です。受精方法としては体外受精が取られることがほとんどで、妊娠~出産は代理母が行うことになります。

 

こちらも卵子提供と同じく、法的な課題が残っています。

 

いずれの方法も、不妊の状況を考慮して医師と相談しつつ決めることになりますが、最後は自分で決断する必要があります。

 

不妊治療の病院選びはどうする?

不妊治療をするにあたって、気になるのが「どんな病院を選べばいいのか」という点だと思います。

 

確かに技術力の高い病院を選びたい気持ちはわかりますが、それよりも重要なことがあります。それは「夫婦関係」です。

 

不妊治療とは、夫婦の二人三脚で行うものです。確かに出産をするのは女性ですが、男性側も責任感からプレッシャーを感じたりして、不妊治療に対して抵抗を感じたりするケースもあります。夫婦関係が良好でなく、お互いに不妊治療に取り組む姿勢が希薄だった場合、診断やカウンセリングの段階で関係がこじれてしまい、離婚になってしまうという事例もあるほどです。

 

したがって、不妊治療をするなら、医師に言われるがままにさまざまな治療方法を試すのはNGで、必ず夫婦の判断によって治療を重ねていく必要があるのです。夫婦のどちらかが、「人に言われたからやった」という意識のままでは、失敗したときに関係が悪化する可能性は高いのです。

 

病院選びにしても同じで、夫婦のどちらかが勝手に病院を選んでしまうのは危ないと言えるでしょう。いくつか病院をピックアップするくらいにとどめておいて、あとは夫婦で「通いやすいか」「費用はいくらか」など、さまざまな側面から話し合って決めるべきです。

 

どんな病院がいいか

 

不妊治療の取り組みにとって、夫婦関係が最も重要であることはすでに説明した通りです。したがって、病院選びもそれに基づいて探せばよいでしょう。

 

具体的には、「説明をきちんとするか」というところに尽きます。どの病院もまずは検査を行って、最適な治療方法を探すというところは同じなのですが、そこですぐに「体外受精をしましょう」などと簡単に決めようとするところは避けたほうがいいのです。そうなると、「医師に決められたからやった」という意識になってしまい、不妊治療が長引いたり、失敗してしまったときに夫婦関係がこじれる元になりかねません。

 

なので、しっかりと説明を行い、カウンセリングなどにある程度時間をかけたり、不妊教室などを開いてしっかりと学べる病院を選ぶのがよいでしょう。

 

技術力の高い病院は、確かに妊娠成功確率も高いかもしれません。ですが、「何回治療すれば妊娠できるか」は誰にもわかりません。例え有名な病院であっても、数十回治療を繰り返して、ようやく妊娠できたという事例も多くあります。なので、訪れた病院で次々に説明不足のままいろいろな治療を勧めてくるようなら、別の病院を検討するようにしたほうがよいでしょう。